久留米大学附設高校、61回生の文集に寄稿させていただきました

先日、出身高校である、久留米大学附設高等学校の61回生(僕は57回生です。)の学年主任の先生から、年に数回出している学内刊行物の文集に寄稿してくれないか、というお話をいただきました。

僕の出身高校は久留米附設大学という、福岡の久留米、という片田舎にある高校です。
最近、卒業生であるホリエモンや、中退ではありますけど、孫さんなどを輩出している高校、としてやや有名かもしれません。
そのアイデンティティーをもった高校出身者として、過去と今の現状をつづってみました。

過去の文集を見せていただきましたが、もちろん高校時代、成績優秀かつ、今も時代の一線で活躍していている方ばかりが書いているような文集です。

このブログを読んでくださっている方は、わかると思いますが、僕は高校時代優秀とは程遠い学生でしたので、僕にお話が来たことは非常に驚きでしたが、非常に光栄でしたので、書かせていただきました。

高校の後輩に向けて書いた文章ではあるのですが、19歳、未成年の時に書いた最後のオフィシャルな文章ですので、イマドキの大学2年生がどのようなことを考えているのか、というのを読んでいただければな、と思い、一応ブログの方にも載せさせていただきます。

この文章を読まれる前に、一つだけご報告を。最近、ブログの記事を書いていませんでしたが、なかなか立て込んでいたせいで書けませんでした。

先月の18日、20歳になる直前、19歳で会社を設立しました。その準備中の中に書いていた記事です。

まだまだ物事を語るような年頃の人間ではありませんのでお恥ずかしい限りですけれど、いい機会でしたので、優しい目で読んでいただければ幸いです。

(2010年 12月20日)


はじめに

五七回生の福崎康平と申します。今回、このような文集の貴重なスペースに書かせていただけることを非常に光栄に思います。この文集では、僕の高校時代に思い描いていたこと、そして今思っていることを少ないながらも経験を踏まえてお話しできたらなと思います。 予め言わせていただくと、僕は成績優秀ではありませんでしたので、勉強法などは一切お話しできませんので、ご了承ください。それでも良いという方だけ、読んでいただければなと思います。

自己紹介

実は今、ある書類を書きながらこの原稿を書かせていただいています。その書類は、定款という書類です。今、僕は会社を設立する準備をしていて、皆さんがこの原稿を読むころには、会社が登記(会社を設立する際は公証役場というところで定款を認証し、法務局に登録しないといけません。)されていることだと思います。今、慶應義塾大学の二年生として、学生をやっている傍ら、会社を設立して新しい活動を始めようとしているところです。その最中に、轟先生からこの原稿を書いてくれないか、というお話をいただきました。
こういった形でお話しできることは稀有な機会だと思いますので、僕が会社を設立するに至った経緯等を含め、六十一回生の皆さんにお話しをさせていただければなと思います。

いつもと違う環境と出会うことの大切さ

僕は中学三十五回生として附設中学校に入学し、高校五十七回生として、附設高校に入学し、二年前に卒業しました。そして慶應義塾大学総合政策学部に入学し、現在、学部二年生をやっています。
正直言って、僕は中学・高校時代、成績はお世辞でも良いとは言えず、定期テストも毎回下から数えたほうが早い順位でした。活動も中学時代はこれと言って行うこともなく、特に高校一年生は遊んでばかりで補習にもひっかかり、先生に心配されることの連続でした。いわゆる附設の先生の中では”劣等生”として認識されていたかなと思います。
そんな中、あるものと出会ったことで僕の人生は百八十度変わりました。
それは日本の次世代リーダー養成塾というプログラムです。日本の次世代リーダー養成塾とは、夏休みに全国から高校生百六十人が一か所に集まり、二週間の共同生活を行うというプログラムです。
リーダー塾では、県知事や首相経験者、経団連の会長や大企業の社長、人間国宝など、二〇名ほどから毎日、講義を受けることができました。そして今の社会情勢やこれからの日本について毎日数時間高校生同士で議論しあいました。そんなリーダー塾に参加し、周りの環境に僕は衝撃を受けました。一六〇人の全国の高校生は、ほとんど生徒会長や帰国子女。他にも会社やNPO立ち上げを行っていたり、様々な校外でのプロジェクトに関わっていたり、と高校生離れした人たちばかりでした。
中高一貫でそれまで四年半過ごしていた自分にとって、初めての長期間ほかの高校生と関わる機会が与えられ、衝撃を受けるとともに、自分の視野の狭さに嫌悪感を覚えました。
そのリーダー塾では塾生にはあるテーマが与えられました。それは「あなたの夢は何か。そしてその夢を叶えるためには今、そして未来に何をするべきなのか。」ということでした。
それまで、テストの点数を上げることだけを目標にしていて、盲目になっていた自分にとっては人生の大きな課題でした。小学校時代に少し勉強ができただけで附設中学に入り高校へと進学し、その環境に安住してしまっていた自分にとって、頭を割られるような課題でした。
その課題は入塾の選考課題として与えられ、塾の卒業式まで四か月間必死に悩みました。そして幾つかの答えにたどり着くことはできました。
僕は、それまで四年半の間、附設という高いレベルにありながらも、閉じこもった環境の人としか関わることはありませんでした。ですので、高校一年生の皆さんには、なるべく早く、早く、違う環境に少しだけでも頭を突っ込むことをお勧めします。大学に入ってから大学を辞めて受験しなおす人も少なくありません。周りに迷惑をかけないためにも今のうちに新しい環境に一つだけでもいいので、顔を出してみて下さい。

残りの一年半の高校生活と受験

夏休みが明けると、進路振り分けがありました。比較的数学や理科の方が得意だったので、理系に進学すれば成績は上がったのかもしれませんが、僕は夢を叶えるための手段として経営学を勉強するために、文系進学を選びました。完全に文系の科目が苦手ではありましたが、なんとか一年半鍛え上げ、今の大学に合格することができました。別にこれと言って勉強方法を変えたわけでもないですが、夢を実現するための強い思いが合格に導いてくれたのだと思います。
僕はリーダー塾に参加するまで、大学進学についてあまり考えたことがなく、受験も、就職するための準備期間としてしか認識していませんでした。たとえば東京大学に行けば将来安泰だとか、法学部、経済学部はイメージが良いとか、理系に行けば就職は引く手あまた、いったような”本当に間違った神話”に騙されていました。大学に進学する本質は、将来自分が叶えたい夢のためにどういった勉強をしたいか、どのような先生に学びたいか、どういった環境に身を置きたいか。という事にあるかと思います。

大学生活

僕のいる大学はSFC(湘南藤沢キャンパス)と呼ばれているのですが、キャンパスは都内から電車で一時間くらい離れた場所にあります。キャンパスの作りやカリキュラムなど、様々な点において、国外の大学を見本に設計されており、研究会、いわゆるゼミにも一年生から参加できますし、授業も先生の講義はほとんど無く、生徒が発言を主体として授業が進められます。必修の授業もほとんどないので、授業をほとんどすべて自分で決めることができます。授業によっては当然予習復習が非常に多いですが、教授も一緒に徹夜して議論したりすることもある、面白い大学です。
そんなキャンパスで、僕は世の中の情報をどう整理し、活用していけば価値が生まれてくるか、ということを経営学的アプローチで学ぶ、経営情報学という学問を中心にして勉強しています。

会社設立とこれから

そして、現在に至るわけですが、最初にお話ししたように、今、会社設立に向けて、様々な準備をしています。起業、というと華やかでかっこいいというイメージが先行していますが、そんなのは嘘でしかないです。会社を作るといっても設立するだけで二―三十万円、資本金でさらにお金が要りますし、人材だって探さなければいけません。さらには、サービスの仕様書や企画書を数百枚単位で作成し、詳細まで要素設計を詰めていくという地味な作業ばかりです。なので、会社を設立すること自体は何もカッコよくないし、泥臭いものです。しかし、このようなことをやっていても本当に楽しい毎日であることは誇りを持っていえます。新しいサービスを作って、それが社会に浸透していくことを夢見て努力する醍醐味はたまりません。現在、大学二年生ですが、就職活動はなども考えず、うまく作った会社でまず飯を食えるようになることが第一のステップです。

このように、おそらく皆さんには全く役の立たない僕の人生の話をさせていただきましたが、その過程でいろいろな経験を積んできた方だとは思いますので、いくつかお話をさせていただければなと思います。

認めなければいけない事実① 東京大学は決して最高の大学ではない。

現在、みなさんは希望の大学へ進学するために、勉強に精進していることだと思います。もちろん、附設生の学力は、東京に来ても非常に高いことは有名ですし、(ホリエモン、孫さんの出身、といえばもうバッチリですよ笑)みなさんの頭の良さは誇れるものがあるので自信を持っていいと思います。

これから、東京大学、京都大学、一橋、慶應、早稲田、、、といったような大学を目標としてますます頑張っていくのだろうと思いますが、ここで皆さんに一つの指標をお見せしたいなと思います。

University of Tokyo(26),Kyoto University(57),Tokyo Institute of Technology(112),Osaka University(130),Tohoku University(132)

ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、これは二〇一〇年九月にTimes Higher Educationが発表した世界大学ランキングです。日本一の大学である東京大学は、世界では二六位、京都大学では五七位、僕が在籍している慶應義塾大学は二〇〇位以内にもランクインしていません。つまり、世界の上位二〇〇校の大学のうち、ランクインは五校しか無いということが一つの事実です。次に、こちらを見てください。

Peking University(37),University of Science and Technology of China(49),Tsinghua University(58),Nanjing University(120),Sun Yat-sen University(171)

上の六校はランクインした中国の大学です。日本は五校ランクインに対して一校上回っていることがわかります。二〇〇九年では日本一一校ランクインしていたことを考えると、学術的な競争力がどのように変遷しているのかは理解できると思います。

これらを見てわかるように、東京大学、京都大学など、トップの大学に在籍していることは日本では誇りに持つことはできますが、これからの時代、世界ではかないません。

次に二つ目の事実をお伝え致します。

Japan(5),India(20),Singapore(22) ,China(36),Korea(42)

これは、二〇一〇年一〇月時点において、Harvard Universityの留学生の人数を指します。順位ではありません。
世界の最高学府といわれるハーバード大学へ日本人の在籍は五人であるのに対して、中国は三六人、韓国では四二人在籍しています。

これらの指標から見とれるように、日本の学力水準は決して世界レベルでは高いとは言えません。
日本で一番ならいいじゃないか、と思う人たちも沢山いると思います。しかし実際に高校時代、優秀な成績を残して東京大学に行ったけれども、就職先がない。就職に強いといわれている慶應大学に行ったのはよかったけれど、行く企業がないために、大学を仕方なく浪人する。といったような人を沢山見ています。
日本で一番の大学に行ったから、上位の大学に行ったからと言って決してその後の生活が保障されることは絶対にありえない。ということを頭の隅においていてほしいなと思います。

認めなければいけない事実② 安易に国家資格の取得を目指すことは危険

人間はできるだけ、ローリスクハイリターンを常に求めるものだと思います。僕らの世代でいえば、就職活動を例に挙げるのがいいでしょうか。大学三年生になると、大学生はみな一斉に就職活動を始めます。就職活動で有利になるために、資格の取得に走る人は多くいます。実際に、公認会計士や弁護士の資格などを取得して、企業に自分のアピールをしに行く学生が多くいます。
確かに、公認会計士や弁護士は平均年収で言えば現在、医者に並んで多くの収入を得ている人は多いですが、この状態が一〇年後存在しているとは限りません。もしかしたら世界の法整備や会計基準が標準化されて国際資格を取得しなければならない、という可能性だってあります。もちろん明確な目的や戦略があって資格を取得することを一切否定はしませんが、資格を取得することを目的にして取得後も、自分の強みは資格しか無いといった状況は危険です。
二〇〇九年の調査では、公認会計士試験合格者の四割、司法試験合格者の四割が就職することができず、ニート化しているといわれています。数千時間かけて勉強して国家資格を取得したものの、仕事に就けないという最悪の状況が生じています。決して、“資格を取っていれば将来は安泰”などという神話も簡単には信じないでください。

認めなければいけない事実③ 今の人気企業は三〇年後存在していないかもしれない

みなさんは憧れの企業というとどのような企業を上げるでしょうか。総合商社、金融、広告代理店、テレビ局といったところでしょうか。一〇年前だと確実にこれらの会社に入れば安泰。そのために有名大学に進学さえすればいい。という認識で間違っていなかったと思います。しかし、現状はリーマンブラザーズの倒産、金融業界の大規模レイオフや内定切り、テレビ業界では赤字決算の企業が出始め、広告代理店も赤字決算です。今、社会の仕組みが大きく変わろうとしています。これらの企業は三〇年後すべて消えている可能性だってあります。
対して、GoogleやApple,Facebookといった会社は最近一〇年でできた会社です。今ではどの会社も、ソニーの時価総額を抜いています。こんなことが一〇年前に予想することはできなかったと思います。しかし、これらの会社も三〇年後すべて存在していないかもしれません。
優秀な附設生の皆さんには、社会がこれからどのように変遷していくのか、環境はどのように変わっていくのか、ということをしっかり考えてほしいなと思います。たとえば、情報技術の進展で、今では個人がユーストリームやニコニコ動画などを使ってテレビ番組を作れる時代になりました。今は日本のテレビ番組は一日数百番組ほどでしょう。対して、これらのツールを使って放送されている番組数は一日に数万~数十万を超えます。どちらがこれからの社会でメジャーになっていくかは誰しもが予想つくでしょう。

“好き”を貫く

社会を見つめる力、世の中がどのように変わってきているか、という事実をいくつかお話しさせていただきました。世の中の仕組みが分かったところでだから何だ。と、皆さん考えるでしょう。そこでもう一つ、みなさんに僕からのアドバイスというよりもお願いです。
それは、好きなことを貫いてほしい。ということです。世の中の成功者と言われる人たちはみなそうやって生きてきました。たとえば身近な例だと、孫正義社長でしょうか。孫さんは、発明が大好きで、UCバークレーに通っている間、たくさんの発明をしました。彼がソフトバンクを立ち上げたのも、電子翻訳機の発明で一億円という資金を稼ぐことができたからです。皆さんは学力に関係なく、本当に賢いと思います。さっきも話した通り、東京に来ても、高校時代の附設生の方がよっぽど賢かったなと思います。賢い附設生が何か好きなことに熱中したら本当に鬼に金棒。負けるはずありません。

Connecting the dots

ですので、正直言って、好きなことしかやらなくてもいいです。テストの点数だって必要が無ければ悪くてもいい。だけど、やると決めた以上、必死にやることが大事です。有名な話を一つ上げますが、AppleのSteve Jobsがスタンフォード大学でのスピーチで話した一節を上げさせていただきたいなと思います。
先を読んで点と点をつなぐことはできません。後からふり返って初めてできるわけです。したがってあなた方は、点と点が将来どこかでつながると信じなければなりません。自分の勇気、運命、人生、カルマ、何でもいいから、信じなくてはなりません。点がやがてつながると信じることで、たとえそれが皆の通る道から はずれても、自分の心に従う自信が生まれます。これが大きなちがいをもたらしてくれるのです。(Steve Jobs / Stanford University卒業スピーチより抜粋)

ジョブズは、リード大学という超有名大学ではなく、米国では中堅の大学へと通っていました。大学を中退こそしましたが、そこで、彼はカリグラフィという文字のデザインの勉強をしていたそうです。彼はカリグラフィ研究を熱心にした成果が、アップルを起点としたフォントという概念を生み出した。と話しています。つまり、自分のその時の興味の赴くまま、飽きるまででも好きなことを貫けば必ずいつかは生きてくるという話です。今やっている部活動でも、課外活動でも、勉強でもなんでもかまいません。好きなことにはとことん熱中してください。その過程できついことがあっても、好きなことのためならば頑張れるはずです。
たとえば、僕は会社を設立するきっかけも、文化祭の出店がきっかけの一つの要因です。僕は料理が好きなので、男く祭で三年間連続出店していました。ホットドックや焼きそば、ハンバーガーなどを販売して、一年目は売上六万円、二年目は売上十三万五千円、そして三年目には十七万円五千円と、過去最高の売り上げを更新しました。(アイスやクレープ等の既製品を外せばダントツのトップだったと思います。)このお店を出す快感が忘れられず、大学生になっても、月に一回や一週間など、渋谷や表参道に、レストランを開いて百万円以上の売り上げを出したりしていました。これが身近な経営の勉強に本当に活きていますし、なによりも楽しくて、楽しくてしょうがなかった。今度はまた新しい点を作るために動き出しています。
考え深く行動していれば、すべての行動には意味があると思います。自分が少しでも熱中したこと、楽しかったこと、本気になれたこと、なんでもいいので、この原稿を最後まで読んでいただいた方はぜひ授業中以外で!考えていただけたらなと思います。人生、なにもかも点と点のつなぎ合わせだと思います。次のステップは実は近いところにあるのかもしれません。ぜひそのためにも、簡単にでも構わないので、目的をもって戦略をもって大学進学に望んでいただければ、幸いです。
最後に、このスタンフォードのスピーチでジョブズが最後に話した一言を皆さんにも送ります。

Stay hungry,Stay foolish.

自分で自分の才能を認めてしまった瞬間、自分で自分を過信した瞬間、行動が自分の目標に達してしまった瞬間、そこで人生は終わりです。皆さんには、常にハングリーで、常にバカで居続けてほしいなと思います。そのためにも大きな志、だれにも負けない大きな夢と好きな事を見つけ、点を打ち続けてください。
そうすればいつしかConnecting the dots.点と点がつながり、人生の指針が見えてくる時が来ると思います。その時のためにも、常にハングリーで、そしてバカであり続けてください。
E:mail : fk.koppe@gmail.com blog:http://koppeblog.com Twitter:@fk_koppe
(慶應義塾大学総合政策学部二年 福﨑 康平)


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